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介護・医療・福祉人材育成講座 キャリア育成塾

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介護人事のかけこみ寺

介護人事のかけこみ寺

  • 人材の確保とは「確保」と「定着」の2つから考えていかなければなりません。
    在職している職員が魅力ある人財として定着していることによって,新しい職員がその次に続いていくのです。
    現在の職員に求められる姿とは個々が持つ人間力をいかに高めるか,が”テーマ”だと考えます。
    介護人事のかけこみ寺ではそういった悩み事の解決策を全10回のコラム形式でお伝えしていきます。

解決策事例

  • 第2回
    当施設では、新人に対して1週間のOJTを実施しています。
    ベテランを中心に対応をお願いしているのですが、人によって指導内容にバラツキがあり、新人も困惑しているようです。
    何か良い方法はないでしょうか?


  • 解決策

    指導を行う際の留意点としては、基本軸は伴走型と言われるマンツーマン指導が初期段階では必須条件となります。
    慣れない現場においていきなり即戦力として活躍できるはずもありません。
    特に新人の場合、社会人としてのスタートラインに立ったばかりなので、技術を追求するだけでなく、一般常識を高めるところから始めなければなりません。
    まず入職して半年間はティーチングで基礎固めをしっかりと行うことが重要です。
    その基盤が中途半端なものとして身につかせてしまうと後のフォローアップが非常に困難となります。
    また、新人は先輩の言葉づかいや行動をまねる傾向にあります。
    悪い行動を取ったならば、そのままの姿が新人にインプットされてしまうのです。
    指導する側は常に意識して良いお手本を示さなければならないのです。
    良いお手本というのは新人教育の場である以上、我流ではなく、基本に忠実でなければなりません。

    新人の目線から捉えると、学校で学んだ技術や内容と配属現場でのやり方や指導の仕方に食い違いが生じたりすることで戸惑いが見受けられます。
    技術は日進月歩であり、その先端を新人は学んでいるということを念頭に置いておかなければなりません。
    あってはならないことですが、自分自身の経験則のみに頼った指導をすると必ずといっていいほど新人や若手の方々は指導者に対し疑いの眼差しを向け始めます。
    先輩職員は最近の勉強していないのではないかという不信感を感じさせてしまうのです。
    指導の際の留意点で考慮しなければならない事柄についてですが、単に教えればよいというものではありません。
    人は教えられても動くことはないと私は考えます。
    余程のインパクトのあった内容であればそれも可能かもしれませんが、ほとんどケースで指導を受けたことでの安心感や満足感で終わってしまいます。
    これを読まれている読者の方々も外部の研修で学んだことは即実践、そして継続しているでしょうか。
    指導のポイントとしては「どのようにすれば、この人は動いてくれるだろうか」に意識を持って行くことが必要となります。
    教えるのではない、動いてもらうにはどう伝えたら、がキーワードです。

    では、統一した指導を行うためには何が必要なのかを紐解いていきましょう。

    <ポイント1>
    まず、ベテラン職員の中から指導担当者を2〜3名決定します。
    これはスキルを持っている人であることは前提条件となりますが、理想としては指導経験があるという考え方があるでしょう。
    しかし、経験が無くても結構だと考えます。
    基本に忠実であり、最新のやり方を勉強しており、今までの我流を押し付けることなく指導できる人材の選定が必要になります。
    最新のやり方を知っていることは前述の通り、今の学校で学んだ技術や内容と配属現場でのやり方や指導の仕方に食い違いを生じさせないためです。

    <ポイント2>
    人材の選定が終わりましたらそのメンバーで協議してもらい、指導方法を統一します。
    いうなれば事業所における指導内容を標準化していくのです。 当然のことながらマニュアルの見直しは必須となります。
    そして新人教育を行う前段階で、職員全員に周知徹底を行わせることが必要となります。
    先輩職員が作りこんだマニュアル通りのやり方をやっていない場合、新人は「なぜ?」という戸惑いを覚えるからです。
    この標準化は非常に大切なことであり、それに準じた評価基準の見直しも図ります。
    要するに職員全員が同じやり方でケアを行うことが大切なのです。
    それに準じた新人教育を徹底して行っていく。
    それがバラツキをなくし、全員が習得できる最短コースなのです。

    <ポイント3>
    ある特定の人が素晴らしいスキルを身につけたとしても,それを周囲のスタッフが実践できなければ学んだ価値は半減し、個々の教え方にも統一感は出なくなります。
    学んだ最新の内容を既存職員に伝え、伝えられたスタッフは講師として他のスタッフの前で講師として指導させてみてはいかがでしょう。
    人に教えるということは学んだ内容を振り返り、思い出し、自分のものにしなければならないので、彼らは改めて勉強しなければならないのです。
    「私の持つスキルは私だけのもの」であり「仕事のできない人はその人自身が悪いのだ」という考えは捨てさせなければなりません。
    いくら個人が介護テクニックや介護スキルを学んだとしても,それを広め,円滑なチームとして機能させなければ統一された教育とはなりえないのです。
    OJT、OFF−JTのどちらにも当てはまる共通項目なのです。

    <ポイント4>
    では具体的に技術系OJT以外にどのような項目をOJTに取り込めばよいでしょうか。
    技術的な項目は各施設において必要とされる職業能力評価基準に基づいて指導していただければと思います。

    それ以外の項目としては次に挙げるものを実践するとよいでしょう。
    基本接遇として、利用者様目線に立った接し方,およびご家族様を不快にさせずお迎えできる職場環境づくりの基本形スキルの習得が挙げられます。
    次いでチーム力とは何かを理解し,全員で作り上げるチーム力の姿や,チームが円滑に機能するために必要な力とは何かを習得させます。
    もちろん利用者様目線に立った、言ってはならない禁句について、普段のケアでの言葉使いについても振り返り,サービスの不信感を生まない対応を習得させます。
    日々のケアでの言動がQOLを高め、生活の質にどのように影響するのか,さらに残存機能を引き出し、ADL・IADLの向上を図る事に繋がるのかについて、ご利用者様の抱える心理を深く理解し,ワンランク上の傾聴スキルを習得し、さらには聴くだけでなくアサーティブな伝え方や考え方を学ばせ、現場で接するご利用者様、ご家族様への対応を強化することでワンランク上の対応が期待できます。

    さらには、支持や共感といった介護の世界では当たり前のことを「人間理解」に視点をあて,人間理解の具体的な方法,家族理解や援助といった関わり合い方を知り、人間力を高め,更なるエキスパートとして知っておくべきノーマライゼーション、人間理解を深める関係づくりを強化させていきます。

    このような内容を3か月経過後より順次教育のプログラムに組み込み、技術OJTの向上を深めていくことに活かせることが大切です。
    指導者側もあせらずにじっくりと取り組まれていくことを切に願います。


連載予定

  • 偶数月の隔月で公開予定(計10回)

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